【Flutter】Dart言語におけるカスケード記法についてのまとめと解説。利用するとこんなメリットがあります

Flutter

みなさんはDart言語をやっていて「..」といったように、ドットの連続がコード内に登場することはないでしょうか?JavaScriptばかりやっていたので少し目新しかったので、皆さんのお役に立てるかなと思い、この記事をまとめました。「..」(ドットの連続の構文的意味を把握してステップアップしましょう)

Dart言語におけるカスケード記法

Dart言語のカスケード記法(Cascade Notation)は、複数のメソッドやプロパティを同じオブジェクトに対して連続して呼び出すための便利な構文です。カスケード記法を使用することで、同じオブジェクトに対して複数の操作を連続して行う場合に、コードの可読性を向上させることができます

カスケード記法は、ドット(.)と二重点号(..)を使用して実現されます。ドット(.)を使用すると、前の操作の結果を次の操作に渡すことができます。二重点号(..)を使用すると、オブジェクト自体を返しながら操作を連続して行うことができます。どういうことでしょうか。次の例を見て見ましょう。

以下は、カスケード記法の使用例です。

class Person {
  String name;
  int age;

  void sayHello() {
    print("Hello, my name is $name and I'm $age years old.");
  }
}

void main() {
  var person = Person()  ←一応ですが、「;」が入っていないことが重要ですので意識的に見てください。
    ..name = "John"      ←一応ですが、「;」が入っていないことが重要ですので意識的に見てください。
    ..age = 30;

  person.sayHello();
}

上記の例では、Personクラスのインスタンスを作成し、カスケード記法を使用してnameとageの値を設定しています。最後に、設定された値を使用してsayHelloメソッドを呼び出しています。

カスケード記法を使用することで、複数のプロパティの設定やメソッドの呼び出しを簡潔に表現することができます。また、ネストした呼び出しを避けることができ、コードのネストレベルを浅く保つことができます。

ただし、カスケード記法はメソッドチェーンとは異なり、メソッドの戻り値ではなく、オブジェクト自体を返す点に留意する必要があります。そのため、カスケード記法を使用する場合は、返り値を無視する操作(例:setterメソッド)を避けることが重要です。

カスケード記法のメリットとは

  1. コードの可読性向上:カスケード記法を使用することで、同じオブジェクトに対する複数の操作を簡潔に表現できます。これにより、コードの可読性が向上し、冗長な一時変数の使用を避けることができます。
  2. ネストの削減:カスケード記法を使用することで、ネストした呼び出しを避けることができます。これにより、コードのネストレベルを浅く保ちながら、複数の操作を行うことができます。
  3. メソッドチェーンの柔軟性:カスケード記法では、オブジェクト自体を返しながら操作を連続して行うことができます。これにより、メソッドチェーンを使用しながら、さまざまな操作を組み合わせることができます。

これは具体的にどういうことでしょうか。実際のソースコードを見ると分かりやすいかと思います。

// カスケード記法を利用したサンプルコード
class Order {
  String id;
  List<String> items = [];
  
  Order add(String item) {
    items.add(item);
    return this;
  }
  
  void printOrder() {
    print("Order ID: $id");
    print("Items:");
    for (var item in items) {
      print("- $item");
    }
  }
}

void main() {
  var order = Order()
    ..id = "123"
    ..add("Item 1")
    ..add("Item 2")
    ..add("Item 3");
  
  order.printOrder();
}

上記の例では、Orderというクラスがあり、addメソッドを使用してアイテムを追加し、printOrderメソッドで注文の詳細を表示します。

カスケード記法を使用することで、同じorderオブジェクトに対する複数の操作を連続して行うことができます。例えば、addメソッドを連続して呼び出し、複数のアイテムを追加しています。

カスケード記法を使用しない場合、ネストした呼び出しを行う必要があります。以下は、カスケード記法を使用せずに同じ操作を行う場合のコード例です。

// カスケード記法を使わない場合
void main() {
  var order = Order();
  order.id = "123";
  order.add("Item 1");
  order.add("Item 2");
  order.add("Item 3");
  
  order.printOrder();
}

結果は一目瞭然だと思います。積極的にカスケード記法を利用したくなりますが、デメリットが気になります。どういったデメリットがあるのでしょうか。

カスケード記法のデメリットはあるのか?

  1. メソッド戻り値の利用制限: カスケード記法では、メソッドの戻り値ではなく、オブジェクト自体を返すため、一部のメソッドを利用する際に制限が生じます。カスケードチェーンの途中で値を取得したり、別のメソッドに渡す場合には制限があります。例えば、カスケード記法内で条件に基づいた処理を行う場合や、値を他の変数に代入する必要がある場合には制限があります。
  2. デバッグの困難さ: カスケード記法を使用すると、複数のメソッド呼び出しが連続して行われるため、デバッグが困難になる場合があります。特に、カスケードチェーンが長くなると、どのメソッドがどの時点で呼び出されているのか把握することが難しくなる可能性があります。エラーが発生した場合には、カスケードチェーンの中での特定の操作のトラッキングやデバッグが困難になる可能性があります。
  3. 可読性の低下: カスケード記法は短い操作の場合にはコードの可読性を向上させますが、長いカスケードチェーンを持つ場合には逆効果となる場合があります。複数のメソッド呼び出しが連続して行われると、コードの理解が難しくなる可能性があります。特に、カスケードチェーン内で条件分岐やループが含まれる場合には、可読性が低下する可能性があります。

カスケード記法はコードの短縮や可読性向上に役立つ場合もありますが、デメリットも存在します。適切な使用方法を選択することが重要であり、特に可読性やデバッグ可能性を考慮しながら使用する必要があります。プロジェクトやチームのコーディングスタイルガイドに基づいて、カスケード記法の使用を判断することが推奨されます。

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