ブログのアイキャッチをMidjourneyで作るようになってしばらく経った頃、記事一覧ページを眺めていて気づいたことがあります。「1枚1枚はいい感じなのに、並べるとバラバラ……」
水彩っぽいもの、写真っぽいもの、妙にドラマチックなもの。同じプロンプトの「型」で作っているのに、テイストが毎回微妙に違うんですよね。前回の第3回でシードを固定する話をしましたが、シードはあくまで1枚の再現用で、シリーズ全体の統一感を出すための機能ではありません。
そこで連載第4回は、Midjourneyで絵柄を統一するための3つの機能、sref・ムードボード・パーソナライズがテーマです。似ているようで役割がけっこう違うので、違いを整理しつつ、非デザイナーのブログ運営ならどう使い分けるかをまとめていきます。
絵柄を固定する3つの機能の違い
まずは全体像から。公式ドキュメントをもとに、3つの機能を並べてみました。
| 機能 | 渡すもの | 書き方 | 強さの調整 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|
| sref(スタイル参照) | 画像1枚〜数枚、またはスタイルコード | --sref | --sw(0〜1000) | 特定のテイストをピンポイントで再現 |
| ムードボード | 自分で集めた画像のセット | --p+ID | --s(Stylize)を併用 | 世界観やブランドの雰囲気をまとめて伝える |
| パーソナライズ | 画像を選んで好みを学習させる | --p | --s(Stylize)を併用 | 自分の好みを全体的に反映させる |
公式ドキュメントによると、スタイル参照は元画像の物や人物をコピーするのではなく、色・表現方法・質感・光といった全体の雰囲気だけを取り込む機能です。一方のムードボードは、スタイル参照よりも幅の広い美的な方向性を伝えるためのもので、--swや--svとは組み合わせられません。代わりに、ムードボードのスタイルがどれだけ反映されるかは--s(Stylize)で調整すると公式に説明されています。なお--sはムードボード専用ではなく、Midjourney側の芸術的な解釈の強さを決める汎用のパラメータです(第3回参照)。ムードボードとパーソナライズは、どちらも--pで呼び出す点も覚えておくと混乱しません。
出典:Midjourney(アメリカ)「Style Reference」「Moodboards」
https://docs.midjourney.com/hc/en-us/articles/32180011136653-Style-Reference
https://docs.midjourney.com/hc/en-us/articles/39193335040013-Moodboards
フランスのMidjourney専門メディアでは、この違いを「srefのほうがインパクトが強く題材に応じて使い回しやすい、ムードボードはより全体的で調和がとれている」と表現していました。筆者の感覚もまさにこれで、srefは「このタッチで」、ムードボードは「この世界観で」という指示だと思うと分かりやすいです。
出典:GenIArt(フランス)「Les moodboards de midjourney un outil de plus pour créer avec style」
https://geniart.fr/midjourney/les-moodboards-de-midjourney-un-outil-de-plus-pour-creer-avec-style/
sref(スタイル参照)の使い方
一番よく使うのがsrefです。使い方は「画像を渡す」方法と「スタイルコードを使う」方法の2つがあります。
画像をスタイル参照として渡す
Web版なら、Imagine barの画像アイコンをクリックして画像をアップロードし、Style Referenceの枠にドラッグするだけです。鍵アイコンを押しておくと、次のプロンプトでも同じ画像が固定されたままになるので、シリーズで何枚も作るときに便利です。

ここで混同しやすいのが、画像をそのまま参照させる「イメージプロンプト」との違いです。国内の解説記事でも、イメージプロンプトは参考画像の被写体や構図をまねしようとするのに対して、スタイル参照は被写体を無視して色使いや質感、照明、画材のタッチだけを取り出す、と整理されていました。
出典:ONE CREATE(日本)「【初心者向け】Midjourneyの絵柄を統一する「スタイルリファレンス」の使い方を徹底解説。」
https://note.com/one_create/n/ne4396f353bfc
プロンプトは「中身」だけを書く
srefを使うときに一番やりがちな失敗が、プロンプトで画像への指示を書いてしまうことです。公式ドキュメントでも「この画像の雰囲気で犬にして」「このスタイルをコピーしてウサギを描いて」はNG例として挙げられていて、「犬の精密なポートレート」「ボールペンで描いたウサギのスケッチ」のように、描きたい中身だけを書くのが良いとされています。
日本語プロンプト(スタイル参照画像を添付した状態で)机の上に置かれたノートパソコンとコーヒー、横長の構図
英語プロンプト(Midjourney・海外サイト用)a laptop and a cup of coffee on a desk --ar 16:9 --sref [画像URL] --sw 100
公式のベストプラクティスでは、参照画像のテイストと矛盾するような画風の言葉は避けつつ、狙ったスタイルがなかなか出ないときは、参照画像に合う画風の言葉を選んで足すと良いとされています。まずはスタイルを画像に任せて、テキストは被写体や構図を中心に書く。それで足りなければ、画像に合う言葉を少しだけ足す。この順番が扱いやすいと思います。
–swで効き具合を調整する
スタイルの効き具合は--swで調整します。公式によると範囲は0〜1000で、初期値は100です。第3回で紹介したシード固定と組み合わせると、効き具合の違いを比べやすくなります。
日本語プロンプト(スタイルの強さを3段階で比較)机の上に置かれたノートパソコンとコーヒー(スタイルの強さを50・100・400で比較)
英語プロンプト(Midjourney・海外サイト用)a laptop and a cup of coffee on a desk --ar 16:9 --seed 1234 --sref [画像URL] --sw 50 a laptop and a cup of coffee on a desk --ar 16:9 --seed 1234 --sref [画像URL] --sw 100 a laptop and a cup of coffee on a desk --ar 16:9 --seed 1234 --sref [画像URL] --sw 400
値を上げすぎると、参照画像の色やタッチに引っぱられて、プロンプトで書いた内容が薄れていきます。まずは初期値の100で試して、効きが弱いと感じたら少しずつ上げるのがおすすめです。
スタイルコードで「探して」「固定する」
手元に参考画像がないときは、スタイルコードが便利です。公式ドキュメントによると、--sref randomを付けて送信すると、randomの部分がランダムなスタイルコードに変換されます。気に入ったらそのコードを使い回すだけで、同じテイストを何度でも再現できます。
ひとつ注意点として、公式ドキュメントのV7向けの解説では、スタイル参照に複数の方式があり--svで切り替えられること、そして--sref randomやスタイルコードは--sv 4と--sv 6でのみ使えることが書かれています。V8.2では--svを指定せずにそのまま使えますが、ネットで見つけた古いスタイルコードを使うと、紹介されていた見た目と違うテイストになることがある点は覚えておきましょう。
さらに、Exploreページの「Styles」タブにあるStyle Explorerでは、スタイルコードを一覧で眺めたり、「photographic」「anime」のような言葉で検索したりできます。気に入ったコードはハートを押しておけばLikesタブにまとまります。ちなみに、アップロードした画像をそのままスタイルコードに変換することはできないので、自分の画像を基準にしたい場合は画像のままsrefに渡します。一方で、Style Creatorという別の機能を使えば、表示される画像の中から好みのスタイルを選んでいくことで、自分だけのスタイルコードを作ることもできます。
ムードボードで世界観ごと伝える
ムードボードは、複数の画像をまとめて「こういう世界観で」と伝える機能です。Moodboardsページで新しいムードボードを作り、手持ちの画像のアップロード、画像URL、Midjourneyで作った画像のいずれかで中身を追加していきます。使うときはIDをコピーして、プロンプトの末尾に--pと一緒に付けます。画像を追加するたびに新しいコードが発行されるので、常に最新のIDを使うのがポイントです。
ドイツのWebデザインメディアでは、画像が多いほど結果が安定し、25枚のムードボードは5枚のものより一貫した結果になると紹介されていました。また、Midjourneyのムードボードはデザイナーが使う資料としてのムードボードとは別物で、実態は画風を学習させるツールだ、という指摘も印象的でした。
出典:Webdesign Journal(ドイツ)「Moodboard erstellen 2026 – Anleitung, Inspirationen & Tipps」
https://www.webdesign-journal.de/moodboard-erstellen/
中国のデザインコミュニティでも、ムードボードの最大の魅力はスタイルの一貫性だとしたうえで、--sを1000まで上げると個性は強く出るものの、やりすぎになることもあると注意していました。こちらも初期値からスタートして様子を見るのが良さそうです。
出典:标记狮社区(中国)「MidJourney新功能上线!用情绪板Mood Board打造专属风格」
https://mmmnote.com/article/7e8/14/article-ee96db9a994a52c1.shtml
パーソナライズで「自分好み」を育てる
パーソナライズは、表示される画像の中から好きなものを選んでいくことで、Midjourneyに自分の好みを学習させる機能です。公式ドキュメントによると、ある程度の枚数を選ぶとグローバルプロフィールが解放され、選ぶ枚数が増えるほど、プロフィールに自分の好みが反映されやすくなるとされています。Exploreページで他の人の画像に「いいね」を押すことも学習に反映されます。
出典:Midjourney(アメリカ)「Personalization」
https://docs.midjourney.com/hc/en-us/articles/32433330574221-Personalization
しかも、現在のV8.2はパーソナライズに力を入れたアップデートで、公式のバージョン解説でも、評価をたくさん付けたプロフィールほど好みをよく理解するようになったと説明されています。スキマ時間に画像を選んでおくだけで、自分専用のMidjourneyに育っていくわけです。
出典:Midjourney(アメリカ)「Version」
https://docs.midjourney.com/hc/en-us/articles/32199405667853-Version
ただし、パーソナライズは「自分の好み」全体を反映するものなので、ブログのシリーズ統一のように特定のテイストに揃えたい場合は、srefやムードボードのほうが使いやすいと筆者は感じています。
ブログのアイキャッチならどう使い分ける?
ここまでの内容を踏まえて、筆者がブログのアイキャッチで実践している使い分けはこんな感じです。
- 最初はStyle Explorerでコード探し:ブログの雰囲気に合うスタイルコードを見つけて、
--srefで固定する - お気に入りが溜まったらムードボード化:採用したアイキャッチが20枚を超えたあたりで、それをムードボードにまとめる
- パーソナライズは裏で育てておく:シリーズ用ではなく、普段使いの底上げとして活用する
ちなみにsrefとムードボードは組み合わせて使うこともできます。ただし--swはsrefの部分にしか効かず、ムードボードとは互換性がない点に注意してください。筆者はブログ用のスタイルコードをメモ帳に保存しておいて、次のようなテンプレートで使っています。
日本語プロンプト(テンプレート)[記事のテーマを表す被写体]、シンプルな構図、余白を広くとる、横長
英語プロンプト(Midjourney・海外サイト用)[subject for the article], simple composition, generous negative space --ar 16:9 --sref [ブログ用スタイルコード] --sw 100
「余白を広くとる」を入れておくと、後からタイトル文字を載せやすくなるのでおすすめです。
Midjourney入門連載
- 第1回Midjourneyの使い方入門
- 第2回プロンプトの書き方と「型」
- 第3回パラメータの使い方を検証
- 第4回sref・ムードボード・パーソナライズで絵柄を統一する(この記事)
- 第5回Edit機能で部分修正と同じキャラの再登場に挑戦
- 第6回静止画を動かす、Midjourneyの動画生成
- 第7回アイキャッチ量産の実践ワークフローと商用利用の注意点
まとめ
Midjourneyで絵柄を統一する3つの機能、sref・ムードボード・パーソナライズの違いと使い方をまとめました。srefは参考画像やスタイルコードから色や質感などの雰囲気だけを取り込む機能で、強さは--swで調整します。プロンプトには画像への指示ではなく、描きたい中身だけを書くのがコツです。手元に参考画像がなければ、--sref randomやStyle Explorerでお気に入りのコードを探して固定しましょう。ムードボードは複数の画像で世界観ごと伝える機能で、画像が多いほど安定し、反映の強さは--s(Stylize)で調整します。パーソナライズは画像を選ぶほど好みが反映されやすくなりますが、シリーズの統一には筆者の経験上srefやムードボードのほうが使いやすいです。ブログなら、まずスタイルコードで固定し、お気に入りが溜まったらムードボードにまとめる流れがおすすめです。次回はEdit機能で部分修正と同じキャラの再登場に挑戦します。並べて気持ちいい記事一覧、作っていきましょう