画像生成AIで「あ、この構図良かったな」と思った次の瞬間、プロンプトをどこかにメモし忘れて二度と再現できなくなった……という経験、筆者は何度もあります。
Stable DiffusionでもMidjourneyでもChatGPTの画像生成でも、良いプロンプトって一発で降ってくるものじゃなくて、単語を入れ替えたり順番を変えたりしながら試行錯誤の末にたどり着くものですよね。それなのに、せっかく見つけた「勝ちパターン」を毎回ゼロから打ち直しているとしたら、かなりの時間をドブに捨てていることになります。
この記事では、非デザイナーの筆者が実際にやってみて「これは効く」と感じたプロンプトのテンプレート化・保存・使い回しの方法を、ツールを問わず使える形でまとめてみました。専用の拡張機能の紹介もあるので、最後まで読んでもらえると幸いです。
なぜプロンプトはテンプレート化すべきなのか
まず前提の話からしてみます。画像生成AIのプロンプトって、実は「毎回ゼロから考えるもの」ではなく「パーツの組み合わせ」であることがほとんどです。
たとえば商品写真っぽい画像を作りたいとき、プロンプトの中身を分解すると大体こんな要素に分かれます。
- 被写体(何を写すか)
- 構図・アングル(俯瞰、正面、寄りなど)
- ライティング(自然光、スタジオ照明など)
- 画風・質感(写真調、イラスト調、3DCGなど)
- カメラ・レンズ用語(85mm、ボケ感など)
- ネガティブプロンプト(除外したい要素)
この構造さえ一度作ってしまえば、毎回変わるのは「被写体」の部分だけ、というケースが実はかなり多いんです。逆に言うと、構図やライティングの指定を都度手打ちしているのは、単純に非効率ということになります。
筆者も最初のころは「毎回違う画像を作るんだから、プロンプトも毎回違って当然」と思い込んでいたんですが、実際にテンプレート運用を始めてみたら、1枚あたりのプロンプト作成時間がざっくり半分以下になりました。この体感は正直かなり大きかったです。
テンプレート化の基本的な考え方
変数部分と固定部分を分ける
テンプレート化の一番の肝は、プロンプトの中で「毎回変えるところ」と「毎回変えないところ」を明確に切り分けることです。
たとえば筆者がよく使う「商品写真風テンプレート」はこんな構造になっています。 【日本語版】 {商品名}、白背景、スタジオ照明、柔らかい影、正面から撮影、高解像度、プロダクト写真風、清潔感のある仕上がり 【英語版】 {product name}, white background, studio lighting, soft shadow, front-facing shot, high resolution, product photography style, clean finish
波括弧で囲った部分だけを差し替えれば、あとは同じ構造のプロンプトが使い回せます。エクセルやスプレッドシートで管理する人は、この{商品名}の部分を列にして、行ごとに商品名を変えるだけで大量生成の準備が整う、というやり方もできますね。
ネガティブプロンプトも定型化しておく
意外と見落とされがちなのがネガティブプロンプト(生成してほしくない要素の指定)です。Stable Diffusion系のツールだと、崩れた手や不自然な指、透かし文字などを除外するための定番の書き方がある程度固まっているので、これも毎回打ち直すのではなく、テンプレートとして固定しておくのがおすすめです。 【日本語版】 低品質、ぼやけ、崩れた手、指の変形、余分な指、透かし、テキスト、署名、切れた構図 【英語版】 low quality, blurry, deformed hands, extra fingers, malformed fingers, watermark, text, signature, cropped
これをテキストファイルなりメモアプリなりに1つ用意しておいて、コピペで貼り付けるだけにする。たったこれだけのことなんですが、毎回考える手間がなくなるのは想像以上に楽です。
保存方法の選択肢を比較してみる
プロンプトの保存先には大きく分けて3つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを筆者なりに整理してみました。
パターン1:メモアプリ・テキストファイルで管理する
一番手軽なのがメモアプリやテキストファイルへの直接保存です。特別なツールを入れなくてもすぐ始められるのが魅力ですが、プロンプトの数が増えてくると「あれ、あのプロンプトどこに書いたっけ」と検索地獄にハマりがちです。筆者も最初はこの方法で、途中から限界を感じました。
パターン2:スプレッドシートで一覧管理する
Googleスプレッドシートなどの表計算ツールで、列ごとに「用途」「日本語プロンプト」「英語プロンプト」「ネガティブプロンプト」「生成結果のメモ」を管理するやり方です。検索性が上がるのと、変数部分だけ差し替えて量産する運用と相性が良いのがメリット。ただし、生成した画像そのものをスプレッドシートに紐づけるのはひと手間かかるので、ビジュアルで振り返りたい人にはやや不向きかもしれません。
パターン3:専用のブラウザ拡張機能で管理する
ここが今回、筆者が一番おすすめしたい方法です。プロンプト管理専用に作られたChrome拡張機能を使うと、テキストの保存・検索・整理がぐっと楽になります。
プロンプト管理におすすめのChrome拡張機能
Notrove(ノートローヴ)
まず最初に紹介したいのがNotrove(ノートローヴ)です。これはカード型のメモ管理に特化したChrome拡張機能で、プロンプトを1枚のカードとして保存していくスタイルになっています。
プロンプト管理という文脈で見たとき、Notroveが地味に嬉しいのはこのあたりのポイントです。
- カード単位で保存するので、「商品写真用」「キャラクターイラスト用」「背景生成用」のようにプロンプトのジャンルごとにカードを分けて整理できる
- 検索機能があるので、キーワードで過去のプロンプトをすぐに引っ張り出せる
- カードの並び替えができるため、よく使うプロンプトを上位に固定しておける
- 日本語・英語の多言語対応なので、日本語プロンプトと英語訳を1枚のカードにまとめて記録できる
- 特定のカードだけPINロック(暗号化)できるので、仕事で使っている門外不出のプロンプトを他人に見られたくない場合にも安心
特に「日本語プロンプトと英語訳を並べて1枚に保存できる」という点は、海外のツールを併用する人にとってはかなり実用的だと思います。筆者自身、この記事の後半で紹介するプロンプトも、実際はNotrove上で日英セットにして保存していたものを引っ張り出しています。
その他のプロンプト管理ツール
Notrove以外にも、海外製も含めていくつか有力な選択肢があります。
「PromptSave」はChat GPTやMidjourney、Stable Diffusionなど複数のAIツールに対応したプロンプト保存拡張機能です。ネット上で見つけたプロンプトをその場で右クリックして保存でき、フォルダやカラー、アイコンで整理できる仕組みが用意されています。(出典:PromptSave: Discover, Save & Share Prompts – Chrome Web Store)
「PromptBox」はテキストのスニペット管理全般に強みを持つ拡張機能で、Midjourneyのアートプロンプトを変数付きで保存し、出力ごとに全文を打ち直さずに使い回せる機能があります。「/」から始まるショートカットでプロンプトを呼び出せる点も地味に便利です。(出典:PromptBox – Organize Frequent… – Chrome Web Store)
また海外では「Template Prompts」のように、ChatGPT・Claude・Gemini・Midjourneyなど複数のAIツールを横断してプロンプトをタグ付け・バージョン管理できるサービスも登場してきていて、プロンプト管理そのものが一つのジャンルとして確立しつつある印象があります。(出典:Template Prompts – AlternativeTo)
色々試してみた筆者の結論としては、「日本語で書いた記録をそのまま見返したい」「カード単位でサクサク整理したい」というタイプの人はNotrove、「複数のAIツールを横断してタグ・バージョン管理までしっかりやりたい」という人は海外製ツールも視野に入れる、という使い分けが良さそうです。
実践:テンプレートを実際に使い回してみる
ここからは実戦形式で、テンプレートを作って使い回すとどうなるかを検証してみます。今回試したのは「キャラクターの半身ポートレート」を量産するテンプレートです。 【日本語版・テンプレート】 {キャラクターの特徴}の半身ポートレート、{髪色}の髪、{服装}を着用、スタジオ背景、柔らかいリムライト、写真風、高精細、8K、被写界深度浅め 【英語版・テンプレート】 half-body portrait of {character description}, {hair color} hair, wearing {outfit}, studio background, soft rim light, photorealistic, highly detailed, 8k, shallow depth of field
これに、実際の値を当てはめて生成した1回目のプロンプトがこちらです。 【日本語版】 20代の落ち着いた雰囲気の女性の半身ポートレート、黒髪の髪、シンプルなニットを着用、スタジオ背景、柔らかいリムライト、写真風、高精細、8K、被写界深度浅め 【英語版】 half-body portrait of a calm-looking woman in her 20s, black hair, wearing a simple knit sweater, studio background, soft rim light, photorealistic, highly detailed, 8k, shallow depth of field
波括弧の中を変えるだけで、次はこんな感じで別バリエーションも一瞬で作れます。 【日本語版】 30代の知的な雰囲気の男性の半身ポートレート、グレーの髪、テーラードジャケットを着用、スタジオ背景、柔らかいリムライト、写真風、高精細、8K、被写界深度浅め 【英語版】 half-body portrait of an intellectual-looking man in his 30s, grey hair, wearing a tailored jacket, studio background, soft rim light, photorealistic, highly detailed, 8k, shallow depth of field
実際にやってみて気づいたのは、テンプレートの骨格が固定されているおかげで、構図やライティングの統一感が出しやすいということです。バラバラに毎回プロンプトを作っていた頃は、同じシリーズの画像なのにトーンがバラついてしまうことがよくあったんですが、テンプレート化してからはそのブレがかなり減りました。ここは正直、想定していなかった副次的なメリットでした。
テンプレートを育てていくコツ
テンプレートは一度作って終わりではなく、使いながら育てていくものだと筆者は考えています。実践する中で気づいたポイントをいくつか挙げておきます。
うまくいったプロンプトはすぐメモする
「今のいい感じだった」と思ったら、生成した瞬間にプロンプトを保存する癖をつけておくのが一番大事です。後で思い出そうとしても、大抵は微妙な単語の順番などを忘れてしまいます。Notroveのようなツールでカードをサッと1枚作る習慣をつけておくと、この取りこぼしがぐっと減ります。
失敗したプロンプトも記録しておく
意外と大事なのがこちらです。「このワードを入れたら崩れた」「この構文だと意図と違う画像になった」というNG例も、実は貴重な情報です。筆者は最初、うまくいったプロンプトだけを保存していたんですが、同じ失敗を何度も繰り返してしまい、結局は失敗パターンもメモするようになりました。
ジャンル別にテンプレートを分けておく
「商品写真用」「キャラクター用」「背景・風景用」「ロゴ・アイコン用」のように、用途別にテンプレートのカテゴリを分けておくと、後から探すときにかなり楽になります。全部をひとつのメモにまとめてしまうと、結局はまた検索地獄に逆戻りしてしまうので注意です。
まとめ
画像生成AIのプロンプトは、ゼロから毎回考えるものではなく、被写体・構図・ライティング・画風といったパーツを組み合わせるものだと捉え直すと、一気にテンプレート化しやすくなります。変数部分と固定部分を分けて保存しておくだけで、プロンプト作成の時間はかなり短縮できますし、シリーズものを作るときのトーンの統一にも役立ちます。保存先はメモアプリやスプレッドシートでも十分始められますが、量が増えてきたらNotrove(ノートローヴ)のようなカード型のChrome拡張機能に移行すると、検索性や整理のしやすさが格段に上がります。うまくいったプロンプトも失敗したプロンプトも、両方を記録として残しておく。これが、地味なようでいて一番効くコツだと筆者は感じています。