※諸説あり
歩きスマホは条例で禁止されている──そう思われがちですが、都道府県単位・政令市単位での 「歩きスマホ条例」は、実は全国どこにも存在しません。実際に条例を持つのは、 足立区・荒川区・葛飾区(東京都)や池田市(大阪府)など、個々の市区町村です。 プロジェクトが全国の状況を整理してお伝えします。
本ページで扱う「条例と罰則」は、いずれも日本国内(都道府県・市区町村)の法令・条例に関する情報です。 海外における歩きスマホ規制の状況は含まれておりませんので、あらかじめご了承ください。
「歩きスマホ」の防止・禁止を主目的とした単独条例は、都道府県単位ではなく市区町村単位で制定されています。 2020年、神奈川県大和市が全国で初めて公共の場所における「歩きスマホ」を条例で禁止し、 以後、東京都足立区・荒川区・墨田区・葛飾区、大阪府池田市、愛知県江南市などが続いています。
| 自治体 | 条例名 | 公布 | 施行 | 歩きスマホの扱い |
|---|---|---|---|---|
| 神奈川県大和市 | 大和市歩きスマホの防止に関する条例 | 令和2年6月29日 | 令和2年7月1日 | 禁止 |
| 東京都足立区 | 足立区ながらスマホの防止に関する条例 | 令和2年7月13日 | 令和2年7月13日 | 禁止(ながら含む) |
| 東京都荒川区 | 荒川区スマートフォン等の使用による安全を阻害する行為の防止に関する条例 | 令和2年10月9日 | 令和3年1月1日 | 禁止(ながら含む) |
| 大阪府池田市 | 池田市ながらスマホの防止に関する条例 | 令和3年3月30日 | 令和3年7月1日 | 禁止(ながら含む) |
| 東京都墨田区 | 墨田区歩きスマホによる事故等の防止対策の推進に関する条例 | 令和4年3月30日 | 令和4年10月1日 | 努力義務 |
| 愛知県江南市 | 江南市歩きスマホの防止に関する条例 | 令和5年3月23日 | 令和5年4月1日 | 禁止 |
| 東京都葛飾区 | 葛飾区歩きスマホの防止に関する条例 | 令和5年6月22日 | 令和6年1月1日 | 禁止 |
出典:一般財団法人 地方自治研究機構(RILG)「歩きスマホ防止に関する条例」(令和7年11月30日更新) https://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/049_taching_smartphone_on_walking.htm
本サイトでも過去に「東京都携帯電話等ながら歩き防止条例」という条例名に言及したことがありますが、 調査の結果、そのような都道府県条例は確認できませんでした。改めてお詫びして訂正いたします。 東京都・大阪府では、歩きスマホそのものではなく、自転車運転中の「ながらスマホ」を道路交通法および 都道府県公安委員会規則(東京都道路交通規則・大阪府道路交通規則)で禁止しており、これには罰則があります。 一方、歩行中の「歩きスマホ」単体を規制する法令は、都道府県レベルでは存在しません。
出典:一般財団法人 地方自治研究機構(RILG)「歩きスマホ防止に関する条例」 https://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/049_taching_smartphone_on_walking.htm
単独条例ではなく、交通安全条例やマナー条例の一部として「歩きスマホ」に言及する自治体もあります。 京都府・徳島県・三重県はいずれも歩行者の努力義務として「歩きスマホ」を慎むよう定めており、 滋賀県大津市は条例で歩きスマホを禁止、愛知県安城市はマナー推進地区の重点施策の一つとしています。 これらもいずれも罰則規定はありません。
出典:一般財団法人 地方自治研究機構(RILG)「歩きスマホ防止に関する条例」 https://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/049_taching_smartphone_on_walking.htm
2016年、国会で「歩きスマホを禁止する法規制の是非」について質問主意書が提出された際、 政府は「歩きスマホによる事故の発生状況等を踏まえつつ、慎重に検討すべきものと考える」と答弁しており、 現在まで国レベルでの歩きスマホ規制法は制定されていません。
出典:衆議院「歩きスマホに関する質問に対する答弁書」(平成28年1月29日) http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b190067.htm (地方自治研究機構「歩きスマホ防止に関する条例」内の引用を参照)
罰則のない条例がなぜ次々と制定されているのか。その背景には、東京消防庁管内だけで 5年間に171人が救急搬送されているという事故件数・統計データや、 駅ホーム・横断歩道・子供の視野といったシーン別の危険性があります。 また、視覚障害者団体への調査では2人に1人が歩きスマホによる被害を経験しているという声もあり、 罰則の有無にかかわらず注意を呼びかける必要性の高さがうかがえます。詳しくは 声かけ・注意の仕方まとめもあわせてご覧ください。
話題性・知名度の高い自治体から、条文に基づいた解説ページを順次公開しています。
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今日から、顔を上げる。
お恥ずかしい話ですが、当プロジェクトも以前は「東京都には歩きスマホ条例があり、努力義務が課されている」 という体で情報発信をしておりました。改めて一次情報を確認したところ、そのような都道府県条例は存在せず、 実際に条例を定めているのは足立区・荒川区・葛飾区といった「区」だったのです。訂正してお詫びいたします。
思い込みで「知っている気になる」ことのこわさを、プロジェクト一同、身をもって痛感しました。 今後は自治体別ページで、一つひとつ条文にあたりながら丁寧にお伝えしてまいります。