商品写真やSNS投稿用の画像を作っていると、「この人物・商品はそのままで、背景だけ変えたい」という場面が地味に多いです。わざわざ撮り直すのは大変ですし、Photoshopで切り抜いて合成するのもそれなりに手間がかかります。今回はNanobanana(Gemini系の画像生成AI)を使って、実際に背景だけを差し替える検証をしてみました。
結論から言うと、Nanobananaは「編集」という作業がかなり得意なタイプのAIで、プロンプトの書き方さえ押さえれば、非デザイナーでも十分に扱えるレベルでした。ただし、いくつかコツを押さえないと被写体まで変わってしまうことがあったので、そのあたりの失敗談も含めて紹介します。
Nanobananaが「背景差し替え」に向いている理由
NanobananaはGoogleのGemini 3アーキテクチャをベースにした画像生成・編集モデルで、テキストと画像を組み合わせて対話形式で画像を作ったり編集したりできるのが特徴です。公式の説明によると、テキストと画像を組み合わせたプロンプトを使うことで、要素の追加・削除・変更、スタイルの変更、色調整などを行える編集機能を持っています(参考:使用 Gemini(又称 Nano Banana)生成图片 – Google AI for Developers)。
特に重要なのが「対話型編集とセマンティックマスキング」という機能です。テキストによる指示だけで画像内の特定パーツを変更しながら、それ以外の部分は保持できるとされています。つまり「被写体はそのまま、背景だけ変える」というタスクに、まさにうってつけの機能ということです。
基本プロンプトの型:被写体を「保護」する書き方
いろいろ試した結果、背景差し替えのプロンプトは以下の型に落ち着きました。
- ①背景を何に変えたいかを具体的に描写する
- ②時間帯・照明などの雰囲気を添える
- ③被写体(人物や商品)は変更しないことを明記する
Adobeの解説記事でも、背景を丸ごと置き換える際は画像全体を選択したうえで、新しい背景の詳細な説明(時間帯や照明などを含む)をプロンプトに入れると、元の被写体を保持したまま新しい背景とシームレスに合成されると紹介されています(参考:Make precise generative edits with Gemini 2.5 (Nano Banana) – Adobe)。実際に試したプロンプトがこちらです。この画像の人物と服装、ポーズはそのまま変更せず、背景だけをパリのカフェの夜景に変更してください。街灯の暖かい光と、少しぼやけたボケ味のある背景にしてください。Keep the person, outfit, and pose in this image exactly unchanged, and only change the background to a Paris café at night. Add warm streetlight glow and a softly blurred bokeh background.
海外のプロンプト集でも「Change background to a Paris café at night」のようなシンプルで直接的な指示が効果的だと紹介されており(参考:Upgrade your creativity with Nano Banana – Higgsfield)、筆者の検証でも、背景の指定が具体的であるほど狙った雰囲気に近づく印象でした。
実際に検証してみた:うまくいったケースとハマったケース
まず「白背景の商品写真」を「木目調のカフェテーブルの上」に変更する検証をしてみました。この商品(マグカップ)の形状、色、ロゴは一切変更せず、背景だけを木目調のカフェテーブルに変更してください。自然光が窓から差し込む、朝の柔らかい雰囲気にしてください。Do not change the shape, color, or logo of this product (a mug) in any way. Only change the background to a wooden cafe table. Add soft morning natural light coming through a window.


結果は非常に良好で、マグカップの形状やロゴの文字はほぼ崩れず、背景だけが自然に差し替わりました。影の落ち方も、新しい背景に合わせて違和感なく再構成されている印象です。
一方でハマったのが人物写真のケースです。最初、筆者は以下のようなシンプルすぎるプロンプトを使いました。背景を海辺に変えてChange the background to a beach
これだけだと、背景が海辺に変わったのはいいのですが、人物の服装まで「海辺っぽい」夏服に変わってしまい、「あれ、そこは変えてほしくなかったんだけどな」という結果になりました。おそらくプロンプトが短すぎて、AIが「海辺の雰囲気に合わせて全体を調整しよう」と判断してしまったのだと思います。海外の解説でも、プロンプトを短くしすぎると、モデルが曖昧な指示を独自に解釈して足りない部分を補ってしまうと指摘されていました(参考:Gemini’s Nano Banana goes viral: 3 genius tips – Tom’s Guide)。まさにその通りの結果になってしまいました。
そこで「服装・髪型・ポーズ・表情は変更しない」という一文を明示的に追加したところ、意図通りの結果になりました。この人物の服装、髪型、ポーズ、表情は一切変更しないでください。背景だけを穏やかな海辺の夕暮れに変更してください。オレンジ色の空と、柔らかい逆光を意識してください。Do not change this person's clothing, hairstyle, pose, or facial expression in any way. Only change the background to a calm beach at sunset. Emphasize an orange sky and soft backlighting.


うまくいかないときのチェックポイント
何度か試して分かったのが、Nanobananaでの編集がうまくいかない場合、たいてい以下のどれかが原因になっているということです。
- プロンプトが短すぎて「保護すべき要素」が明示されていない
- 背景の描写が抽象的すぎる(「きれいな背景」ではなく「木漏れ日の差す公園のベンチ」のように具体的に)
- 照明や時間帯の指定がなく、被写体と背景の光の質感がちぐはぐになる
Google自身のプロンプトガイドでも、照明について「三点照明のスタジオセットアップ」や「ゴールデンアワーの逆光で長い影を作る」など、具体的な照明用語を使うことを勧めています(参考:Ultimate prompting guide for Nano Banana – Google Cloud Blog)。背景差し替えでも、この照明用語の指定が被写体との馴染みやすさに直結すると感じました。
一度でうまくいかないときは、会話形式で微調整する
Nanobananaのもう一つの強みは、一発で完璧な結果が出なくても、続けて会話するように微調整できる点です。筆者が試した際も、最初の生成で背景の色味が少し濃すぎたので「背景の彩度をもう少し落として、全体を淡いトーンにして」と追加で指示したところ、直前の生成結果をベースに自然に調整してくれました。海外の紹介記事でも、「too OTT(やりすぎ)、もう少し控えめに」といった簡単な言い回しだけで、AIが意図を汲み取って微調整してくれると紹介されています(参考:Gemini’s Nano Banana goes viral: 3 genius tips – Tom’s Guide)。一回で完璧を狙うより、まず生成してから会話で詰めていくほうが結果的に早いと感じました。
同じ商品で背景バリエーションを量産してみる
背景差し替えが安定して使えるようになると、地味に便利なのが「同じ商品写真から、背景違いのバリエーションを量産する」という使い方です。ECサイトやSNS投稿用に、同じ商品でも季節感の違う画像を何パターンか用意したい場面は多いと思います。
先ほどのマグカップの画像をベースに、背景だけを変えて3パターン作ってみました。プロンプトの骨格は同じで、背景の描写部分だけを差し替えています。この商品(マグカップ)の形状、色、ロゴは一切変更せず、背景だけをクリスマスシーズンの雰囲気に変更してください。ぼんやりとしたイルミネーションの光と、暖色系のボケ味を背景に加えてください。Do not change the shape, color, or logo of this product (a mug) in any way. Only change the background to a Christmas-season atmosphere. Add softly blurred illumination lights and warm-toned bokeh in the background.この商品(マグカップ)の形状、色、ロゴは一切変更せず、背景だけを爽やかな夏のビーチサイドカフェに変更してください。明るい日差しと、青空を背景に感じられるようにしてください。Do not change the shape, color, or logo of this product (a mug) in any way. Only change the background to a fresh summer beachside cafe. Add bright sunlight and a hint of blue sky in the background.


面白かったのは、商品側のプロンプトを完全に固定しておくと、季節や雰囲気が違う背景でも、マグカップの見た目の印象(色味やハイライトの入り方)がブレにくいという点でした。逆に言うと、被写体を保護する一文を省略すると、背景の色温度につられて商品側の色味まで微妙に変わってしまうことがあったので、量産する場合ほど「変更しない」の明記が効いてくる印象です。
まとめ
Nanobananaでの背景差し替えは、「①新しい背景を具体的に描写する」「②照明や時間帯を添える」「③被写体側の変更禁止事項を明示する」という3点を押さえれば、非デザイナーでも十分に実用的な結果が得られることが分かりました。特に人物写真では、服装やポーズまで一緒に変わってしまう失敗が起きやすいため、「変えたくないもの」を先回りして書いておくのがポイントです。一発で完璧を狙わず、会話形式で少しずつ微調整していくのも、Nanobananaらしい使い方だと感じました。