脱・AIっぽさ

クリスマスのチラシ・POPをAIで作るなら「AIっぽさ」を消して炎上を防ごう|Nano Banana ProとMidjourneyで検証

2026年10月21日 (更新: 2026年10月22日)

11月に入ると、カフェやケーキ屋さんの店先にクリスマスのPOPが並び始めますよね。筆者のまわりでも「今年のクリスマスチラシ、AIでパパッと作れないかな?」という相談がちらほら出てきました。

ただ、ここで1つ気をつけたいことがあります。最近は、AIで作ったチラシやポスターを見ると「うわ、AIだ……」と引いてしまう人が少なくないんです。筆者も街中で、キラキラが盛りだくさんで、どこかツルッとした質感のポスターを見かけると、内容より先に「AIで作ったんだろうな」が頭に浮かんでしまいます。

そこで今回は、Nano Banana ProとMidjourneyを使って、AIっぽさを抑えた、落ち着いたクリスマスのチラシ・POPを作れるかを検証してみました。目的はAIを使ったことを隠すことではありません。「手抜きっぽく見える」「安っぽく見える」原因を取りのぞくことです。

なぜAIで作ったクリスマス広告は嫌われやすいのか

2025年のクリスマスシーズンには、AIを使った広告が批判を受けた事例がありました。ドイツのテック系メディアmobiFlipは、記事のタイトルで2025年のクリスマスを「質の悪いAI広告の年」と表現しています。コカ・コーラやマクドナルド・オランダの広告を取り上げ、安っぽく急ごしらえに見えると論評していました。

出典:mobiFlip「Weihnachten 2025: Das Jahr der schlechten KI-Werbung」
https://www.mobiflip.de/weihnachten-2025-das-jahr-der-schlechten-ki-werbung/

マクドナルド・オランダのCMは、批判を受けて公開を取りやめています。フランスのKultureGeekによると、批判は年末を否定的に描いた広告の内容に向けられたものでした。そこに、人の手足がゼリーのように崩れる不自然な映像が重なり、批判が強まったそうです。

出典:KultureGeek「McDonald’s retire sa publicité de Noël générée par IA après les critiques」
https://kulturegeek.fr/?p=343569

調査データもあります。アメリカの調査会社NIQは、2024年12月の発表で、2,000人以上に品質の異なるAI生成広告を見てもらった調査の結果を公表しました(うち約150人は脳波も測定)。発表によると、消費者の多くはAI生成広告を見分けていて、従来の広告より魅力に欠け、「うっとうしい」「退屈」「わかりにくい」と受け止められる傾向がありました。ブランドの印象にも悪影響を与えるおそれがあるとしています。なお、発表には回答の割合などの数値は載っていません。

出典:NIQ「NIQ research uncovers hidden consumer attitudes toward AI-generated ads」
https://nielseniq.com/global/en/news-center/2024/niq-research-uncovers-hidden-consumer-attitudes-toward-ai-generated-ads/

日本でも同じ流れです。J-CASTニュースでは、AI画像が嫌われる理由として、指や光の向きなどの細かな不自然さに加えて、似たような絵柄や色調が大量に出回る「量産感」が挙げられていました。「またAIか」「手を抜いたのでは」と思われやすい、というわけですね。

出典:J-CASTニュース「なぜ「AI画像は気持ち悪い」のか 嫌悪感が止まらない一方で「デザイン会社」の倒産ドミノが始まった」
https://www.j-cast.com/2026/08/10517015.html?p=all

お店のチラシでも、「AIで手を抜いたお店」と思われてしまったら本末転倒です。

「AIっぽい」と思われるチラシの4つのサイン

では、何がAIっぽさを生むのか。アメリカのデザイナー、Mika Reyesさんのブログでは、AI製のポスターを見分ける特徴が、デザイナーとしての経験則としてまとめられていました。そこに筆者の実感も加えて、チラシ・POPで特に気をつけたいものを4つに絞ってみます。

出典:Mika Reyes「How to Spot AI-Made Graphic Design and Posters」
https://mikareyes.com/ai/how-to-spot-ai-made-graphic-design-and-posters.md

1. ぎゅうぎゅう詰めで余白がない

AIにおまかせすると、オーナメント、雪、星、プレゼント、リボン……と、クリスマスっぽいものが画面いっぱいに詰め込まれがちです。人がデザインすると自然にとる「何もない場所」がないので、目が休まらないんですよね。

2. テカテカした質感と、くすんだ色

中国のデザインメディア優設網の記事では、筆者の経験から、AI画像の「AI味」の原因として質感がのっぺりしていること、全体が黄ばんだ色になること、影の部分の彩度が高すぎてギラついて見えることの3つが挙げられていました。クリスマスの赤と金は、まさにこのギラつきが出やすい色です。

出典:優設網(UISDC)「用了3年AI,终于知道怎么去掉AI味!」
https://www.uisdc.com/aigc-ui-3

3. 画風とフォントがちぐはぐ

フラットなイラストの横に写真のようなリアルなケーキがあり、文字は立体的なキラキラ文字……というように、1枚の中に別々のテイストが混ざるのもAIっぽさのサインです。

4. どこかで見たような平均的な絵

「赤い背景に金のオーナメント、真ん中にツリー」。クリスマスと指示しただけだと、誰が作っても同じような絵になります。このお店らしさがないことも、量産感につながります。

今回の検証ルール

2つのAIで、同じ縦長3:4のサイズ、同じ文言で、それぞれ4枚ずつ生成しました(Midjourneyは1回の生成で4枚出るので、それに合わせています)。比べたのは次の2点です。

  • 見た目:おまかせで作ったものと、AIっぽさを消す指示を入れたものの違い
  • 文字:「Merry Christmas」「クリスマスフェア」「聖夜限定ケーキ ご予約受付中」、日付・価格が正しく入るか(完全に正しい/1文字だけ間違い/読めない、の3段階で判定)

最初に出てきた結果と、会話で直したあとの結果は分けて扱っています。なお、お店の写真や自分の写真はアップロードせず、すべてプロンプトだけで作っています。

Nano Banana Proで「AIっぽくない」チラシを作ってみた

まずはおまかせで作ってみると……

比較のために、まずはざっくりとした指示で作ってみました。

日本語プロンプトケーキ屋さんのクリスマス用POP。「クリスマスフェア」という文字を入れて、華やかにしてください。

英語プロンプト(海外サイト用)A Christmas POP sign for a cake shop. Include the exact Japanese text "クリスマスフェア" and make it festive and gorgeous.

Nano Banana Proにおまかせで生成した、オーナメントや光の粒が画面いっぱいに詰め込まれた赤と金のケーキ屋さんのクリスマスPOP

はい、見事に「AIっぽい」POPができました。赤と金のグラデーションに光の粒がちりばめられ、余白はほぼゼロ。文字もゴールドで立体的にキラキラしています。きれいはきれいなんですが、どこかで見たことがある感じがすごいです。今回の生成では、「華やかに」という指示に対して、装飾や光の表現がたっぷり盛り込まれました。

色数・余白・質感を指定すると一気に落ち着く

そこで、先ほどの4つのサインを裏返した指示を入れてみました。ポイントは、色を3色までにしぼる、余白の割合を決める、ツヤのない紙の質感にする、画風を1つに決める、の4つです。

日本語プロンプトケーキ屋さんのクリスマス用POP。生成りの紙に刷ったような、ツヤのないマットな質感。使う色は赤・深緑・生成りの3色だけ。画風はシンプルな版画風のイラストに統一し、立体感やキラキラした光の表現は入れない。画面の下3分の1に、いちごのショートケーキとヒイラギを1つずつ小さく配置し、上半分は広く余白をとる。上部に「クリスマスフェア」という文字を深緑の太めの明朝体で入れ、その下に2行で「聖夜限定ケーキ」「ご予約受付中」と赤い文字で小さめに入れる。縦長3:4。

英語プロンプト(海外サイト用)A Christmas POP sign for a cake shop. Matte texture like ink printed on off-white paper, no gloss. Use only three colors: red, deep green and off-white. Keep a single style of simple block-print illustration, with no 3D effects and no sparkles or glowing light. In the bottom third, place one small strawberry shortcake and one sprig of holly, and leave the upper half as generous empty space. At the top, display the exact Japanese text "クリスマスフェア" in a bold deep green Mincho font. Below it, in two lines, display "聖夜限定ケーキ" and "ご予約受付中" in smaller red text. Vertical 3:4 aspect ratio.

Nano Banana Proで生成した、生成りの紙に赤と深緑の版画風イラストで小さくショートケーキとヒイラギを描き、上部に余白をとって「クリスマスフェア」と入れたPOP

同じAIとは思えないくらい、雰囲気が変わりました。色が3色にしぼられて余白ができたことで、街の小さなケーキ屋さんが自分で刷ったような、温かみのあるPOPになっています。特に効いたのは「キラキラした光の表現は入れない」の一文で、今回はこれがあるだけでギラつきがかなり減りました。ただし、効き具合はモデルや生成のたびに変わるので、何枚か作って比べるのがおすすめです。

文字は「短く、行を分ける」が基本

文字のほうも見ておきます。今回の検証の範囲では、「Merry Christmas」のような短い英語や、「クリスマスフェア」のような短いカタカナは比較的きれいに入りました。気をつけたいのは長い見出しで、「聖夜限定ケーキご予約受付中」を1行で頼むと、「予」や「約」のように画数が多い漢字の線が1本足りない、ということが起きやすかったです。

中国のAPIサービス、Apiyiのブログでは、長い文字列は短く区切ることがすすめられていて、同記事の独自の検証では日本語は10文字程度までが目安とされていました。あくまで経験則で、どのモデルにも当てはまる上限ではありませんが、実際に2行に分けたところ、今回は崩れが減りました。

出典:Apiyi.com Blog「提升 Nano Banana 图片文字渲染准确率的 6 个技巧和两步法实战」
https://help.apiyi.com/nano-banana-text-rendering-consistency-guide.html

崩れた文字は、作り直さずに会話で直すのが早いです。週刊アスキーの記事でも、Nano Banana Proは「まず生成して、会話で細かく直す」使い方が主流になってきたと紹介されています。

出典:週刊アスキー「ここがヤバい!「Nano Banana Pro」画像編集AIのステージを引き上げた6つの進化点」
https://weekly.ascii.jp/elem/000/004/354/4354220/3/

日本語プロンプト「ご予糸受付中」になっている部分を「ご予約受付中」に直してください。それ以外の文字や絵は変えないでください。

英語プロンプト(海外サイト用)Fix the text that reads "ご予糸受付中" so that it says exactly "ご予約受付中". Do not change any other text or part of the image.

日付や価格などの小さい文字は、大きな見出しより精度が落ちる傾向があります。「3,980円」が「39,80円」になるような桁ずれは、パッと見では気づきにくいので要注意です。また、日付や曜日がきれいに描かれていても、実際のカレンダーと合っているとは限りません。ちなみに2026年は、12月20日が日曜、25日が金曜です。

透かしが入るプランもある

Googleの公式発表によると、無料プランとGoogle AI Proプランで生成した画像には、目に見えるGeminiのマークが入ります。Google AI Ultraの加入者と、開発者向けのGoogle AI Studioでは、この見える透かしは入らないと案内されていました。ただし、目に見えないSynthIDの透かしはこれとは別に埋め込まれます。見える透かしがないからといって、AI生成だと判別できなくなるわけではありません。

出典:The Keyword(Google公式ブログ)「Nano Banana Pro: Gemini 3 Pro Image model from Google DeepMind」
https://blog.google/innovation-and-ai/products/nano-banana-pro/

Midjourneyは「文字なしの素材」担当にする

文字入れは英語の短いものまで

Midjourneyの公式ドキュメントでは、バージョン6以降の機能として、入れたい文字をダブルクォーテーション(”)で囲む方法が案内されています。ただ、説明は英語などのラテン文字が前提で、短い言葉ほど正確に出やすいとされています。今回も「Merry Christmas」は4枚中2〜3枚で正しく入りましたが、日本語の「クリスマスフェア」は読める文字になりませんでした。筆者の感想としては、日本語の文字入れは任せないほうがいいです。

出典:Midjourney Docs「Text Generation」
https://docs.midjourney.com/docs/text-generation

「手で作った質感」の素材づくりが得意

その代わり、Midjourneyは絵の質感づくりが本当にうまいです。そこで、文字を入れずに、消しゴムはんこや版画のような「手で作った感じ」のイラスト素材だけを作ってもらいました。–style rawは、Midjourneyらしい派手な味付けを抑えるパラメーターです(これを付ければ必ず手作り感が出る、というものではありません)。

日本語プロンプト白い紙の上に、赤と深緑のインクで刷った消しゴムはんこ風のヒイラギとショートケーキのイラスト。インクのかすれや少しのズレがある、手で押したような素朴な質感。背景は無地で、文字は入れない。 --ar 3:4 --style raw

英語プロンプト(海外サイト用)Holly and strawberry shortcake illustrations stamped on white paper with red and deep green ink, like hand-carved rubber stamps, slightly faded ink and imperfect alignment, a simple handmade feel, plain background, no text --ar 3:4 --style raw

Midjourneyで生成した、白い紙に赤と深緑のインクで押した消しゴムはんこ風のヒイラギとショートケーキのイラスト素材

インクのかすれや位置のズレが表現され、手作り風の質感を出すことができました。今回は、この「わざと不完全にする」指示が、AIっぽさを抑えるうえでかなり効いた印象です。

検証結果をざっくり比較

筆者が各4枚ずつ試した範囲の、会話で直す前の結果の傾向です。一般的な性能の優劣を示すものではありません。

項目Nano Banana ProMidjourney
英語の短い文字○ 比較的読みやすかった○ 4枚中2〜3枚で正しく入った
日本語の見出し○ 2行に分けた場合は比較的読みやすかった× 読める文字にならなかった
日付・価格△ 崩れることがあった× 読める文字にならなかった
AIっぽさを抑える指示○ 色と余白の指定で落ち着いた◎ 手作り風の質感が出た

AIっぽさを消す最後のひと手間は人がやる

検証してみて一番感じたのは、AIっぽさを完全に消すには、最後の仕上げを人がやるのが近道だということです。筆者のおすすめは次の流れです。

  • AIには、文字なしの背景やイラスト素材だけを作ってもらう
  • 文字はCanvaなどで、自分でフォントを選んで組む(フォントは2種類まで)
  • お店のロゴや、いつも使っている色を必ず入れる
  • 商品写真を使うなら、AIに渡さずCanvaの上で組み合わせる
  • 余裕があれば、手書きのひと言を写真で取りこんで添える

特に最後の、実際に店主が書いたひと言を添えると、そのお店ならではの個性や温かみが伝わりやすくなります。AIに全部を任せるより、AIは素材係、仕上げは自分、と役割を分けるほうが、結果的にAIっぽさのない、お店の顔になるチラシに仕上がります。

印刷・掲示する前のチェックリスト

  • 誤字がないか(画数の多い漢字は1文字ずつ拡大して確認)
  • 日付と曜日、価格の桁や税込表記が正しいか
  • 色は3色程度か、余白は十分にあるか
  • キラキラやテカりなど、AI特有のギラつきが残っていないか
  • イラストの手やケーキの形など、細部が崩れていないか
  • 見える透かしが入っていないか
  • 印刷サイズに対して解像度は足りているか、塗り足しは確保できているか
  • 使ったAIサービスの利用規約で、店舗の広告に使えるか(商用利用の条件)

参考・引用元

まとめ

AIで作ったクリスマスのチラシやPOPは、2025年に批判を受けたAI広告の事例のように、「手抜き」「安っぽい」と受け取られるリスクがあります。デザイナーの経験則によると、AIっぽさのおもな原因は余白のなさ、テカテカした質感とギラついた色、ちぐはぐな画風やフォント、どこかで見たような平均的な絵の4つです。今回の検証では、Nano Banana Proで色を3色にしぼり、余白の割合を決め、マットな質感と単一の画風を指定するだけで、ぐっと落ち着いたPOPになりました。Midjourneyは日本語の文字入れには向きませんが、消しゴムはんこのような手作り感のある素材づくりが得意です。文字は短く区切り、崩れた部分は会話で直し、日付や価格は必ず自分の目で確認しましょう。そして一番効くのは、AIを素材係にして、フォント選びやお店のロゴ、手書きのひと言といった仕上げを人がやることです。このひと手間で、AIを使っていてお店らしさの伝わるチラシに仕上がります。

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