意匠・原則

画像生成AIの構図指定プロンプト|俯瞰・アオリ・三分割をアニメ調の作例で検証してみた

2026年9月30日

画像生成AIでイラストを作っていると、「キャラの見た目はいい感じなのに、なんか毎回同じ絵に見える……」という壁にぶつかりませんか?

筆者もまさにそれでした。出てくるのはだいたい正面からのバストアップ。まるで証明写真を量産しているような状態です笑

原因はシンプルで、「何を描くか」は書いていても「どこから撮るか」を書いていなかったんですよね。そこで今回は、俯瞰・アオリ・三分割といった構図指定のプロンプトを、同じキャラクター・同じシーンで比べてみました。デザインの専門知識がなくても使えるように、日本語のプロンプトと英語のプロンプトをセットで載せています。

そもそも「構図」はAIにどう伝わるのか

アングル・ショットサイズ・配置の3つに分けて考える

一口に「構図」と言っても、AIに伝えるときは次の3つに分解すると一気に扱いやすくなります。

  • アングル:カメラの高さと角度(俯瞰、アオリ、アイレベルなど)
  • ショットサイズ:どこまで画面に入れるか(アップ、バストアップ、全身など)
  • 配置:被写体を画面のどこに置くか(三分割、日の丸、余白など)

国内の構図プロンプト集でも、AIで安定して効くのはアングルとショットサイズで、三分割のような要素配置は指示が通りにくいと紹介されています(にじジャーニー sref 便利帳)。今回の検証でも、この「効きやすさの差」がハッキリ出ました。

海外でも「映画・写真用語」で指示するのが定番

アメリカ、フランス、ドイツ、中国のサイトも調べてみたのですが、どの国でも共通していたのが「映画や写真の用語で指示するとAIに伝わりやすい」という点です。

アメリカの映像系スクール Curious Refuge は、Midjourney は映画撮影の用語によく反応すると紹介していますし、ドイツの WinFuture も、ショットサイズや視点などフィルムの言葉を使うと結果をコントロールしやすいと解説しています。フランスの Studio Laudator は、プロンプトでは「high angle shot」「low angle shot」といった英語の専門用語をそのまま使うべきだと言い切っていました。

日本語で指示できるAIが増えたとはいえ、構図に関しては英語の用語を覚えておいて損はありません。いわば「カメラマンの共通語」です。

検証の前提:アニメ調のベースプロンプトを固定する

比較するためには、構図以外の条件をそろえる必要があります。今回は次のベースプロンプトに、構図の指示だけを差し替えて生成しました。

日本語プロンプト

日本のテレビアニメ風のイラスト、セル画調、細くきれいな線画、フラットな影。20代の女性、黒髪のショートボブ、白いパーカー、夕暮れの歩道橋の上に立っている。

英語プロンプト(海外サイト用)

Japanese TV anime style illustration, cel shading, clean thin lineart, flat shading. A woman in her twenties with a black short bob, wearing a white hoodie, standing on a pedestrian bridge at dusk.

アメコミっぽくなるのを防ぐひと工夫

実は最初、「アニメ風」とだけ書いていたら、アオリの構図で急に筋肉質なヒーローっぽい絵になってしまいました。ローアングル=迫力=アメコミ、という連想がAIの中で働いているようです。……いや、気持ちはわかるんですけども笑

そこで「日本のテレビアニメ」「セル画調」「細い線」と具体的に書き、さらにネガティブプロンプト(入れたくない要素)で西洋コミックの特徴を外すようにしました。ネガティブプロンプト欄がないツールでは、本文の最後に「〜は避けて」と書き添えればOKです。

日本語プロンプト(ネガティブ)

アメコミ風、太い輪郭線、クロスハッチング、3DCG、フォトリアル

英語プロンプト(ネガティブ)

western comic style, thick outlines, cross-hatching, 3D render, photorealistic

アングル編:俯瞰・アオリ・アイレベルを比べてみた

アイレベル(基準)

まずは基準となる、目線と同じ高さからのショット。何も指定しないとAIはだいたいこの角度になります。フランスの Blog du Modérateur でも、Midjourney は指定がなければ目の高さで生成すると書かれていました。落ち着いた日常シーンにはこれで十分です。

日本語プロンプト

目線と同じ高さから撮ったアイレベルのショット、膝から上。

英語プロンプト

eye-level shot, cowboy shot.

俯瞰(ハイアングル)

斜め上から見下ろすアングルです。キャラクターが小さく見えるので、さみしさや孤独感を出したいときに向いています。歩道橋の床や街並みが画面に入るため、「どこにいるのか」も伝わりやすくなりました。

日本語プロンプト

斜め上から見下ろす俯瞰のアングル、ハイアングル、全身が見える、足元に歩道橋の床と街の明かり。

英語プロンプト

high angle shot, from above, full body, the bridge floor and city lights visible below her.

アオリ(ローアングル)

足元から見上げるアングルです。キャラクターが大きく、力強く見えるので、決めカットや覚悟を決めたシーンにぴったり。背景に空が大きく入るので、夕焼けとの相性も抜群でした。

日本語プロンプト

足元から見上げるアオリのアングル、ローアングル、背景に夕焼けの空が大きく広がる。

英語プロンプト

low angle shot, from below, looking up at her, a wide sunset sky filling the background.

真上・ダッチアングルなどの変化球

もっと極端にしたい場合は、真上から見下ろす構図や、画面を斜めに傾けるダッチアングルも使えます。ダッチアングルは不安感や緊張感を出すのに便利ですが、多用すると落ち着かない絵になるので「ここぞ」という1枚に取っておくのがおすすめです。

日本語プロンプト

真上から見下ろす構図。/画面を斜めに傾けたダッチアングル。

英語プロンプト

top-down view, overhead shot. / dutch angle, tilted frame.

注意:「looking up」は視線の話

ここで筆者が30分くらいハマったポイントをひとつ。「見上げる」を英語にして looking up と書くと、カメラの角度ではなく、キャラクターの視線として解釈されることがあります。

キャラがカメラを見上げている=カメラは上にある、ということなので、アオリを狙ったのに俯瞰の絵が出てくるわけです。筆者が悪かった、筆者が悪かったでござる……。国内のプロンプト図鑑(りの先生のnote)でも、見上げる視線のプロンプトが俯瞰の例として分類されていて、「あ、そういうことか」と納得しました。

カメラの位置は from above / from below や high angle / low angle、キャラの視線は looking at viewer などと、役割を分けて書くのが安全です。

ショットサイズ編:どこまで画面に入れるか

アップ・バストアップ・全身

ショットサイズはアングルよりもさらに素直に効きます。感情を見せたいならアップ、会話シーンならバストアップ、衣装や場所を見せたいなら全身、と目的で選ぶと迷いません。

日本語プロンプト

顔のクローズアップ。/胸から上のバストアップ。/頭から靴まで入った全身。

英語プロンプト

close-up of her face. / upper body shot. / full body shot, from head to shoes.

★★★全身がどうしても切れる問題

「全身」と書いたのに足首で切れる……これ、画像生成AIあるあるです。アメリカの Developer DAO のブログでは、Midjourney は人物だと中くらいのショットに寄りがちなので、全身と書いたうえで靴や髪など頭と足の情報も描写するとよい、と紹介されていました。

実際に「白いスニーカー」と足元の描写を足したところ、かなりの確率で靴まで入るようになりました。AIは「描写された部分を画面に入れようとする」と覚えておくと応用が利きます。

配置編:三分割・日の丸・余白を試してみた

三分割構図は「言い換え」で指示する

さて、今回いちばん手こずったのがここです。rule of thirds(三分割構図)と書くだけだと、効いているのかいないのか、正直よくわからない結果が続きました。

そこで参考になったのが中国の infi.cn の記事。構図の指示は「三分法」という用語だけでなく、主体が画面のどれくらいを占めるか、どこを空けるかまで具体的に書くべきだと解説されています。つまり、用語ではなく「どこに何を置くか」で説明するわけです。

日本語プロンプト

三分割構図、人物を画面の右側3分の1に配置し、左側には広い夕焼け空を入れる。

英語プロンプト

rule of thirds composition, the woman placed on the right third of the frame, a wide sunset sky on the left side.

日の丸構図とシンメトリー

逆に、人物を真ん中にドンと置く日の丸構図はAIの得意技です。何も指定しなくても中央に寄りがちなので、「中央」「左右対称」と書けばほぼ一発で決まります。キャラ紹介やアイコン用途ならこちらのほうが使いやすいですね。

日本語プロンプト

人物を画面の中央に配置した日の丸構図、左右対称の背景。

英語プロンプト

centered composition, the woman in the middle of the frame, symmetrical background.

文字を入れる余白を先に作っておく

ブログのアイキャッチやバナーに使うなら、文字を入れる余白を最初から指定しておくのが断然ラクです。先ほどの infi.cn の記事でも、文字入れの予定があるなら余白の位置を明記したほうが、あとからトリミングするより手間が少ないと書かれていました。

日本語プロンプト

人物は画面の右側に配置し、左側3分の1は文字を入れるための何もない余白にする。横長16:9。

英語プロンプト

the woman on the right side of the frame, leave the left third empty as negative space for text, 16:9 landscape.

構図が効かないときのチェックリスト

最後に、構図がなかなか反映されないときに筆者が確認している項目をまとめておきます。

構図の指示をプロンプトの前半に書く

にじジャーニー sref 便利帳でも、アングルやショットサイズは冒頭付近に書くと反映されやすいと紹介されています。キャラの細かい描写を先に書くと、構図の指示が埋もれてしまうんですよね。

指示どうしを矛盾させない

「俯瞰」と「背景に空が大きく広がる」を同時に書くと、AIはどっちを優先すべきか迷います。見下ろせば空はほとんど映らないので、当然といえば当然。そのアングルで本当に見えるものだけを書くのがコツです。

縦横比もセットで決める

三分割や余白は、画面の形しだいで効き方が変わります。横長の16:9にすると左右の配置が効きやすく、縦長の9:16だと上下のアオリ・俯瞰が映えます。Midjourney なら --ar 16:9、ChatGPT や Gemini なら「横長で」と一言添えましょう。

それでもダメなら「絵で伝える」

ドイツ版の Adobe Firefly のプロンプト解説でも、カメラ位置とフレーミングは具体的に指定するのが基本とされていますが、言葉だけでは限界があるのも事実。どうしても狙いどおりにならないときは、手描きのラフや似た構図の写真を参考画像として読み込ませるのが近道です。Stable Diffusion なら ControlNet という、ポーズや構図を画像で指定できる拡張機能も使えます。言葉で100回粘るより、ラフ1枚のほうが早いこともあります笑

今回の組み合わせをまとめると、「アングル+ショットサイズ+配置」の順に前半へ書き、そのあとにキャラと背景を描写する形がいちばん安定しました。テンプレートとして使い回してみてください。

まとめ

画像生成AIで構図を指定するときは、「構図」をアングル・ショットサイズ・配置の3つに分けて考えるのがポイントです。俯瞰(high angle / from above)やアオリ(low angle / from below)、アップや全身といったショットサイズは、映画や写真の用語を使うと素直に反映されます。一方で、三分割構図のような配置の指示は用語だけでは効きにくく、「人物を右側3分の1に」「左側は余白に」と、どこに何を置くかを具体的に書くのが確実です。また、looking up のような視線の表現とカメラ位置を混同しないこと、構図の指示はプロンプトの前半に書くこと、アングルと矛盾する背景描写を入れないことも大切です。アニメ調で作るなら「日本のテレビアニメ風」「セル画調」と具体的に書き、アメコミ風の要素はネガティブプロンプトで外しておきましょう。同じキャラでも構図を変えるだけで、驚くほどストーリーが生まれますよ。

「どこから撮るか」をひと言足すだけで、証明写真の量産からは卒業できます笑

参考サイト

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